学校薬剤師の職務

学校においては、発育発達の途上にあって、外界からの影響を受けやすい多数の児童生徒が、共同生活を営み、かつ学習活動に終始して1日の大半を過ごしています。したがって、児童生徒の生活環境の大部分を占める学校環境の衛生的な適否は、児童生徒の学習能率の向上、伝染病その他の予防、健康の保持増進に及ぼす影響が大きい。そのため学校薬剤師は、学校保健法に従って、次のような学校環境衛生に関する検査と、それに基づく指導・助言を行っています。

 照度の検査

教室内の明るさが適切でないと、近視、学習能率の低下、疲労などの原因にもなるので、黒板及び机の上の明るさを測定しています。とくに雨や曇りの日が多い時期を選んで測定し、照度不足があれば、改善するよう指導しています。

 騒音の検査

騒音により教室内で先生の声が聞き取れない、また学習や思考に集中できないなどを防止するため、騒音を測定し、必要な場合には防音対策をお願いしています。

 教室の空気の検査
1.
空気清浄度の検査

現在の校舎は、鉄筋化や窓サッシの普及により気密性が高くなったので、換気不良を来たすことが多くなっています。とくに冬期においては、この傾向が強くなり、教室内の空気中には、細菌・ウイルスなどが浮遊し、かぜなどの原因となります。教室内の空気の汚れの指標として二酸化炭素濃度を測定し、基準値以上であれば、換気するよう指導しています。
2.
ホルムアルデヒドなどの検査

改築、改装などを実施した教室、また机、いす、コンピュータなどの新たな備品を整備した教室においては、いわゆる「シックハウス症候群」の原因となるホルムアルデヒド等の発生の恐れがあるので、ホルムアルデヒド、トルエンなどの濃度を測定し、基準値を超えていれば、換気などの対策を助言します。
 飲料水の検査

学校の飲料水は水道水ですが、現在の高層化された学校では、水はまず受水槽で受けて、これを屋上の高置水槽に汲み上げ、ここから各階に給水しているので、受水槽、高置水槽及び配管などに異常が発生すれば、汚染の恐れもあります。定期的に水道法に規定された残留塩素が残存しているかなどを測定し、飲料水の安全確保に努めています。
 水泳プールの検査

学校プールでは、多数の児童生徒が一度に利用することから、プールの水質が適正に管理されていなければ、プール熱やハヤリ目などの感染症の集団発生を来たす恐れがあります。そのためプール水の残留塩素濃度を測定し、これらの感染症の原因であるウイルスを死滅させるのに十分な濃度になっているかを確認しています。その他、大腸菌及び一般細菌の検査、また、塩素消毒の副生成物としてのトリハロメタンの検査などを行い、プール水の安全に努めています。

以上のような環境衛生検査のほかに、学校において使用する医薬品及び理科室用薬品などの管理に関しての指導・助言、小学校における虫歯予防のためのフッ素洗口液の調整など、児童生徒の健康増進と望ましい学習環境の整備のために、様々な活動を行っています。
また給食設備のある高等学校では、毎学期ごとに設備や衛生管理、管理台帳の記録状況などの検査を実施しています。

学校薬剤師についての詳しい内容は、愛知県学校薬剤師会のホームページをご覧下さい。
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